往復小説
松里鳳煌#7:普通の形>
天外黙彊#5:公園のはなし>松里鳳煌#5-1:景色
仕事柄の癖のようなもの。
誰にしろあるだろう。
真剣に取り組んであれば当然のことに思う。
僕は人間観察かもしれない。
この前、親父に怒鳴られた。
「人ばっかり見て、お前はどうなんだ!!」
つい言いすぎた。
見ていれば自ずと口も出る。
他人事は無責任に言える。
例え事実だろうと欠点を白日の下に晒されるのは誰しも嫌なものだ。
よく晴れた夏の日。
世界は力強さに溢れていた。
自然の英気を浴びながら、不意に最後の時を思う。
ある晴れた朗らかな日曜日。
道を歩いていると少年は力を得たと実感した。
花粉症に耐え抜いたご褒美だろうか。
理由はわからない。
実感としてある。
でも、少年は慎重だった。
今の力をもってすれば、くしゃみ一つ、放屁一発で町を破壊出来そうな感覚があるからだ。
夕暮れ時、風をきる音。 息が白い。 「またやっ…
ある村で化物が話題になっていた。
闇夜に紛れ、神社へ向かう山道の石段を登るという。
「食われちまうぞ。近づかない方がいい。」
噂はあっという間に広がる。
ある日、諸用で遅くなった村人がその場所を足早に通り過ぎようとする。近道だった。
「こわやこわや」
何かに気づき足を止める。
硬いものが石を叩く音だ。
音は次第に大きくなる。
脱サラして探偵になった。
手に職をつけたかったからだ。
ブラック企業はもう真っ平。
ほとんど衝動的だったが案外馴染んでいる。
こういう職業をやっていると色々な人がやってくる。
人生色々なんだと毎度考えさせられる。
最も印象的な案件が何かと問われたら間違いなくアレだろう。
”鶴子 ”
泣くとは思わなかった。
人が何を思って泣くか、わからないものだと彼は思った。
自分にとっては単なる無意識の行為、習慣に過ぎない。
とても泣くほどのこととは思えないが。
それでも堅い表情に鋭い眼光を宿した彼女は自ら想像だにしなかったほど泣いていたし、その様に彼は激しく胸を動かされる。
彼女は顔を真っ赤にし、何事かと自ら狼狽え、慌てて手で涙を拭う。
彼が癒やされたとも知らずに。
往復小説とは、短歌における返歌、歌のコミュニケーシ…
「サンタさん来るかな?」
今日はクリスマス。
街は色づき華やいでいる。
娘の父親が失踪して1ヶ月が経つ。
彼は何時もこう言っていた。
「俺は猫みたいに死にたい」
そういう意味だとは思わなかった。
届けは出したけど諦めている。