話者:松里鳳煌
書家である野尻泰煌の人生と死は切っても切り離せない。十七歳で自分の人生をかけて育ててくれた母を突然失い、精神的支柱を築いた祖母の死を隣で見届け、書を始めた大きなキッカケと心の根底を培った祖父を亡くし、細君の末期に身を捧げた。一方、十代から書家の一員として活躍した彼は、更に多くの別れを経験することになる。自ずと高齢者の多い世界。丁々発止した諸先輩方、歳差ある友人達、そして師を次々と見送ることになる。自らのライフワークとなった「是(ぜ)」もそれ故であったことだろう。そんな先生でも、脱水が原因で意識を失った父を発見した時から決定的な変化が。
放送:第百七十一回:野尻泰煌の死生観
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